2007年2月25日日曜日

見た目と中身


ピカピカな綺麗な楽器と、くたびれた感じの使い込んだ楽器があったら、どっちを選ぶのかな?もし、サウンドに大差なかったら間違いなく新しくて綺麗な楽器のほうを選ぶだろうな私なら。
オールドの風格は認めるけど、本当の凄さは、やはりそのサウンドにあり、長年オーナーに愛された時間の積み重ねに他ならないと思うんですよね。つまり、他人がつけてしまった数々の傷は、私にとってはただの傷んだ楽器に思えちゃうんですよ。
今月上旬にshinmeiさんと楽器店巡りをやって、彼が以前所有していた楽器(下取りに出したヤツって事ね)を弾かせてもらいましたが、78年のJazzBassは素晴らしかったですね。すっごく重量のあるボディで、弦の振動に全く負けていませんでした。シールドしか使ってないのに、まるでSadowskyの外付けプリでも咬ましたかの様なサウンド。あんなJazzBass初めてだったなあ。ドンシャリなイメージだったけど、意外とMidにキャラクターがあった。鋭いレスポンスは、演奏者に結構高いスキルを求めてくる(笑)。でも、このBassにしたって、ある時点で急に見違えるような変化をしたとは思えないんですよね。元々実力として持っていたのではないかと思うんです。勿論弾き込んだ事によってサウンドは変化するし、予め持ち合わせていたであろうキャラクターが表に現れる事は知っていますし、経験もあります。StingRayBassなんかは典型的でした。然るに、いくら評価の高い年代の物でも、人の愛情を注がれて来なかった古いだけの楽器は良い音を出してはくれませんよ。
で、現在の相棒であるMoonとStingRayですが、優れたオールドを弾いて見て分かった事は、結構良い線行ってるって事。数多く作られた楽器達の中から、偶然奇跡的に優れた素養を持った物が存在し、それが弾き込まれ、メンテナンスを施されて更に弾き込まれる。長く演奏してると、ただ古いだけの楽器と、きちんと愛情を注がれてきた楽器の違いくらい分かるようになってくるんです。しかし、良い音がする楽器は、佇まいだけでも素晴らしいですね。

2007年2月10日土曜日

「やっぱり交換。そして・・・。」

以前、ノイズの発生源だったバッテリーボックスの配線ですが、再び雑音を発生させ始めたので結局交換する事になりました。作業自体は然程難しくはないのですが、部品がね・・・中々入手できないんです。メーカーは、Gotoh(ゴトー)。ペグやブリッジなんかで世界的に有名な国産メーカー。

ネットで検索しても、在庫として持っているところは皆無だった。どこで調べても納期は早くて2週間。部品である以上、交換する事もあるだろうに暢気な感じがするな。結局3週間経って、楽器屋さんから無事に届きました。神田商会㈱から取り寄せたそうです。ってことは現行StingRayの修理用ですな。世界中のバッテリーボックスは日本製なんですよ皆さん!

これに交換する訳ですが、動かして見ると若干改良されてるような感じがしました。軽く動くし、節度もあります。

配線が走っている箇所を確認。黒いコードはジャックへ、赤いコードはポットへ接続されています。

途中で半田付けされて透明なチューブで絶縁・保護されているのが分かるでしょうか?これは、熱収縮チューブと言って、ライターなどで加熱すると縮んでくれる便利な物です。中身はこんな感じになってるんですよ。右側の黒い箱がバルトリーニのNTCT。真ん中の黒い歯車みたいなのが、ミッドカットトリマーです。400hzをカットできます。

古いバッテリーボックスの配線を切断し、新しい物の配線を通します。配線は捩ってないんだ。自分でやらなきゃね。配線自体は結構硬くて、しっかりと癖をつける必要がありました。


先に、熱収縮チューブを通しておきます。これ、なかなか売ってないんですよね。売っていても1メートル単位(笑)。そんなに使う事はないけど、ないと不便な物なんです。これはあぽろんの藤田店長が分けてくれました。ありがとね。

で、いきなり完成後の画像なんですが(笑)、両手でも足りなかったんですよ。手順としては、コードの被覆を先に剥いておいて、予め半田をのせておきます。で、片手に半田ごてとコード、そしてもう片方の手でコードを持って溶接します。熱で溶かして溶接するわけですから、コードを持つ指先は熱い熱い。ちょっと火傷しましたけどね・・・。綺麗に仕上がりました。最後にライターで加熱してチューブを収縮させて完成です。


で、どうなったかと言うとトレブリーな感じが抑えられて、Midが少し良く出る感じになりました。電源の交換でも変化するものなのかな?これは嬉しい副産物でした。こんな部分でも音って変わるんですね。

2007年2月9日金曜日

「一年ぶりの東京」

今週前半は、仕事の都合で久しぶりに東京へ出張でした。当然お楽しみは楽器店巡り。初日は、同級生だった友人達と食事に行く事になっていたので、かる~く済ませる事にしました。向かった先は池袋のイケベ楽器。現在所有してるBassは、何故かここで買ったものなんですよね。StingRayとMoon。縁を感じます。お目当ては、高級楽器じゃなくてFenderJapanをWorkShopFellowがReSettingしたJB。ナット交換やフレットすり合わせなど、細かい所まで手が入っていて、比較的珍しいFenderJapanらしくない重量のあるJBは、ローアクションになってて、明らかに異なる弾き心地だった。「羊の皮を被った狼」的な発想が好きですね。野沢さんの仕事はやはり大変丁寧で、好感が持てるものでした。中身で勝負って感じが好きなんですよ。

次の日は、ここに良くコメントを下さるシンメイさんと渋谷で落ち合う事に。待ち合わせ時間まで余裕があったので、MusicLandKEYを覗いた。雑居ビルを改造した店舗はあまり試奏する気になれず、店頭で呼び込みに精を出す店員さんの姿が少し悲しかったかな。

待ち合わせ場所は、イケベ楽器ハートマン。ここはビンテージ専門店で、貫禄あるオーラを放つ歴代の名器達が陳列してる。程なくしてシンメイさんとご対面。長身の彼はいかにもベーシストらしいナイスガイでした。事前のイメージ通りかな。折角なので試奏させてもらう事に。1966年製JazzBassは、伊藤広規さんと同じ年式。からっとしてて軽量なのに、アタックがとても綺麗だったのが印象的。ただし、残念な事にネックがハイ起き(ネックが根元から曲がる現象)していて、フレット刷り合わせで対処したせいで、ハイポジションのフレットはの残り僅かな状態。ちゃんと直すとなると結構な出費になりそう。素性は良さそうでした。次に、クロサワベースセンターへ。ここでは彼お勧めのロスコーをチェック。但し6弦だったのでまともには弾けません。音は取っても綺麗に伸びてくれました。全くよどみやうねりは無し。弦は残念ながら死んでたんですが・・・。あと、シンメイさんが手放した1979年製JazzBassも素晴らしかった!プリアンプなど何するものぞ!と言わんばかりの強力な個性を発揮してました。これですよこれ!


いよいよちょっと小走りで最大手のイシバシ楽器に到着。ここはハッキリ言って別格でした。圧倒的な売り場面積と品揃え。彼は迷わず高級楽器コーナーへ案内してくれた。店長さんを紹介してくれたり、売り物の楽器のコンディションを教えてくれたり、もしここの店員だったら、優秀なセールスマンになるでしょうね(笑)。


↓彼は店長さん。笑顔がさわやか!


これはマークキングのシグネーチャーモデル。ヘッドレスなのにナットがある。ボディはグラファイト製。何とポジションマークが光るんですよ!


彼がシンメイさんです。


ね?ナットがあるのが分かりますか?なんとベアリングが仕込んであって、ベンディングもOK!ゲージは異常に細くて、これなら誰が弾いてもマークキングになっちゃいます。(笑)。
確か60万以上したと思ったけど、普通に手に届くところに置いてあってビックリ。ここら辺じゃ考えられない。ビンテージも充実。でも、結構普通に売ってるんですよ。価格は普通じゃないけれどね(笑)。


初めて1965年製JazzBassw試奏しました。ハッキリ言って心のどこかに「オールドなんて痛んだ古い楽器じゃん」と言う思いがあったんですが、今回試した65年製は私と同い年なんですね。程度も素晴らしく、良い音がスコンスコン出てくるんです。いや驚きました。世間の評価が高い理由が分かりました。でもね、価格は堂々の¥1,980,000!最近では¥4,000,000超えなんて言うのも珍しくないらしい。下手な株を買うよりも確実ですね。現存数も減る一方だろうし。
やっぱり自分の生まれ年の楽器って、どこかで憧れてる部分はありますよね。


右側のBassが、先ほど話した物とは別物ですがロスコーです。


最後に店長さんがショーケースから出して見せてくれたテレキャスターベース。ペイズリー柄のサイケなこのBassは¥1,575,000。


とっても濃い、濃密な時間でした。今回はシンメイさんの奥様が体調を崩されているらしく、残念ながらゆっくりとお話しすることは出来ませんでしたが、ベーシスト同士は演奏で会話すると(笑)。シンメイさんは大変なテクニシャンです。ちょっと聞けば分かります。行く店行く店、普通じゃない常連である事はよく理解できました。『歩くベースマガジン』と比喩するのは失礼でしょうか(笑)?是非またの機会を楽しみにしてます。今回は大変ありがとうございました!