2006年6月30日金曜日

「鳴りじゃなくて鳴き」


梅雨時というものは楽器にとって辛い季節だ。

例年より降雨量は少ないにも拘らず、コンディションの維持には気を使います。ところで、鳴りの良い楽器は調子の変化も敏感に判ってしまいます。構造は単純な筈なのに、いざ不調になると原因が判明しにくいんです。抜群のチューニングの安定性を誇るStingRayに対して、なんと不安定なMoonのJB。チューニング時に「キンッ!キンッ!」とナットが鳴くなら分かるんだけど、バダスのサドルが鳴いてます。何度か軽く溝をあさってみたけど改善の傾向は僅か。弦のうねりもこれが原因なのかな・・・?併せて発生している症状として、ちょっと激しく弾いた後にチューニングが上がっていくと言う困った状態で(困)。1弦開放で弾く曲の後に決まって上がってるって事は、ナットが原因だな。フレットを押さえた時には大して狂わないもの。でも、これって湿度は関係ない部分なんですよね。

しかし、楽器の調子が悪くなるのは決まって今の時期。やっぱり湿度の高い日本にはポリフィニッシュが良いですね。トップラッカーのStingRayは雨が降って無くてもベタベタしちゃってエアコンをつけないと触れません。汗なんかかいたらボディの裏にも服の繊維の痕がくっきりと付いてしまいます。かと言って、ケースに仕舞いっ放しにすると湿気でポットがやられてガリが発生します。できるだけ毎日触ってあげないと・・・愛は平等に!(笑)

ネットで人様のページを拝見していると、それはもう沢山の名器をお持ちの方が沢山いて驚きます。でも、ケアはどうしてるんでしょう?楽器と言う物は焼きもちを焼く物です。片方ばっかり構ってると、もう片方がイジけて「何よ!」とばかりにヘソを曲げてしまいます。全くもって厄介です(笑)。それとも、沢山持ってると、「私にもっと触って!」とでも言ってみんな調子よくなるのかな?いや、そんな訳ないよな。

2006年6月24日土曜日

「抜けるサウンドのためにVol.4」

ここまでやって、さぁ!音色補正について。パッシブの場合はハイカット(高域をカット)するだけなので、通常は全開。ハッキリ言って無くてもいいんだけど。
今回はアクティブサーキットを搭載したベースの音色設定について。ベースと言う楽器は、レコーディング時に信号をラインで送るので、ギターと異なり本体で音色を完成させておくに越した事がない。ライブでは背後にアンプが鳴ってるけど、あれはあくまでモニター用。アンプの手前で信号が分岐され、卓に行ってます。つまり、アンプで作った音色はPAにはな~んの影響もない訳。対して、ギターはアンプで鳴ってる音をマイクで拾いますので、機種による影響が大きいですね。

で、搭載されてるサーキットですが、一番良く見かけるのがバルトリーニかな。これを積んだジャズベはホントに良く見かけます。StingRayもアクティブベースの代表機種。あの独特の音色に欠かせなかったりします。

Moon JB205HS
左からフロントピックアップVol,リアピックアップVol,Ba,Treです。プリアンプはバルトリーニNTCT。コントロールパネルを開けるとミッドカットトリマーが付いてて、500hzをカットできます。Baは30hz,Treは4Khzをブースト&カット。






Musicman StingRayBass
左からVol,Tre,Baとなってます。この年式はBaのみブースト、Treはカットのみだそうです。なので、センタークリックはありません。本来、こう言ったアクティブサーキットを搭載する目的は、・外来ノイズに強い・ラインで信号を送るため、シールドを介さず音色補正する方が有利と言う物です。とは言え、音色設定と言う物は個性を主張できる部分でもあるため、積極的に活用したいのもわかります。

し・か・し!パッシブサーキットと違って、全部をフルブーストしてる田舎者がなんと多い事か(泣)。ガシャガシャしちゃって聴けたモンじゃありません。あくまで「補正」なんですよ。ベースと言う楽器の音色設定は結構センスを問われるし、難しいんです。基本はニュートラルな楽器本体の音色を引き出す事なんです。例えば、中音域(ミッド)をカットすると、どんどんサウンドはタイトになっていきます。スラップベーシストなんかに多く見かけます。私も昔はEQが思いっきり「M」を描いていました。しかし、アンサンブルでは比例してサウンドが埋もれていきます。「ベース単体では良い音なのに、バンドでは音が前に出てこない。」なんてのは良く聞きますね。ダイナミックレンジが狭いはずのパッシブベースがアンサンブルでは存在感を発揮し、「やっぱりパッシブだよ。細かいニュアンスが出せる。」なんて言うのも中音域の処理に差が出てるだけです。サーキットの問題じゃありません。もっともらしい主張をこれまた良く耳にします。私の場合は、MoonもStingRayもBaは「5」、Treは「2」位です。ですから、僅かな補正しかやっていません。スラップ&2フィンガーのどちらでも耳障りにならずぼやけない音。これが理想ですね。極力「素」の音を出すようにします。で、アンプなども基本的にはフラット。あれこれ弄らないと使えないなんてね、ホントは話になんないんですよ。敢えて中音域を操作する場合は、Hi-Midを少しカット&LowーMidをちょっとブースト。これでサウンドの膨らみ加減を調整。後はピッキングニュアンスでコントロール!ほら、「抜ける音」になったでしょ?

2006年6月22日木曜日

「抜けるサウンドのためにVol.3」

やっぱりスラップよりチョッパーと言う方がしっくり来るなぁ。今回は引き続き右手の話でサムピングについて。先回はプラッキングについてバリエーションを紹介しましたが、こちらも使い分けでニュアンスに変化をつけられるんです。

大まかに分けて、ノックするように叩く人と、指板に振り抜く人といますが、私は後者の方。スラップするとビートが軽くなる人は是非試してみて下さい。通常はこのポジションを多用します。第1関節の裏側で叩きます。


フレーズにドライブ感が欲しい時や、更に重いビートを必要とする時には、指の腹の横を使います。大き目のストロークで捏ねる様に弾きます。ピックっぽいニュアンスかな。


これはとっておき(笑)。叩くポジションは指板の端。ここを叩くと、ドラムで言う「リムショット」に似たアタックが得られます。パーン!って感じ。コンプレッサーを強めにかけて叩くとこんな感じになります。なので私にはコンプは不要!ここ一発でワイルドなフィーリングを必要とする時、そう、ファンク等にはここで思いっきり行きましょう!

いかがでしょう?サムピングだけでも、これだけバリエーションがあるんです。闇雲にコンプをかけると、こう言ったニュアンスの変化を付けられません。もし使うなら、このニュアンスが生きる使い方をしなきゃね。実はね、この10本の指先こそ魔法のエフェクターなんです。それにしても手がカサカサだ。ハンドクリームでも塗っておくかな・・・。

2006年6月21日水曜日

「抜けるサウンドのためにVol.2」

先回に引き続き「抜けるサウンド」について。左手と同じ位、右手は重要です。なぜ左手について先に書いたかというと、左手について記述してるのを滅多に見かけないからなんです。
で、いよいよ右手についてです。Mixiなんかでも、やれエフェクターだなんだって激論が(笑)。違うんです。第1に確認すべきはあなたの両手の「タッチ」なんです。そのベースが鳴るの鳴らないの言う前に、あなたはベースを「鳴らせますか?」と聞きたいですね。
ただ単に弦を弾いてる訳じゃないんです。ベーシストは、シチュエーションによって刻一刻とサウンドを変化させ、アンサンブルを構築するんです。
良く言われる「太い音」を出す時には、指を気持ち真っ直ぐにしてボディ側へ弾きます。
通常は、少し指を曲げて隣の弦に向けて弾きます。タイトなサウンドが得られます。この2通りを使い分けます。結構ニュアンスが変わります。
次にピッキングポジション。通常~太目の音が欲しい時はこの辺でピッキングします。指先の当たる角度でも変化がつけられます。
最近多用するポジション。フロントピックアップとリアピックアップの中間位。ここが最も抜けます(笑)4弦以外を弾く時は、4弦に親指を乗せて弾きます。ジャズベースにおけるピッキングのスウィートスポットはここにあると思います。それぞれのベースに、この「スウィートスポット」は存在します。是非探してみましょう。下手にEQをかけるより良い効果があります。
スラップのプルの時、通常はこの様に人差し指を引っ掛けて斜め上に弾きます。太めなニュアンスが得られます。最も一般的な弾き方です。
もうひとつ。指の角度を変えて、真上に弾きます。これによって、上の弾き方よりタイトで抜けの良いサウンドが得られます。
まだまだ書ききれませんが、ベーシストたる者、曲・編成・フレーズ・会場その他によって、全体の出音に注意を払いながら自在に変化させる技量が必要です。デバイスに依存する前に、自分が楽器を鳴らせているかを確認した方が良い。キッチリとベースをセットアップして、キッチリと鳴らす技量を身に付ける。そして、その上でアンプがど~だとかEQがど~だとか議論しましょう。でもね、名手と呼ばれる人ほど足元はシンプルなんですよ。「抜ける音」とは、つまり綺麗な音でしっかりと弾けている状態を指すんです。楽器の持てるポテンシャルを引き出すのは、あなたの指先なんです。

2006年6月20日火曜日

「久々のお気に入り」


長年愛用してたBMWのストラップが、酷使に耐え切れず切れそうになってしまった。携帯電話を買い換えても、これだけは大切に使い続けてたんです。なんか良いのはないかな~とオークションを探してもなかなか見つからない。人が持ってるのは嫌だし、耐久性も勿論ね。で、発見しました!こんなのどこでも見たことない!きっとギター好きなら堪らない一品でしょう。それがこれ。なんとストラップのストラップ(笑)。発想が良いでしょ?レザークラフトの専門店です。本物のストラップも作ってるんですね。でも高い(笑)こんなの貰ったらギタリスト&ベーシストは喜ぶでしょう。ちゃんと出来てますよ。これで¥840!お問い合わせはJAJABOON(ジャジャブーン)http://www.jajaboon.jp/まで。全6色から選べます。う~ん久々に大ヒットかな。

2006年6月17日土曜日

「抜けるサウンドのために」

「良いベースのサウンド」を表す表現として、「抜けてる」と言う表し方がある。何とも抽象的な表現なんだけど、自分なりに見解を・・・。
まず、意外に重要なのが左手。弦の押さえ方で大きくサウンドが変わってしまうんです。スタジオである程度の音量を出していても、今ひとつ音が前に出てこないと感じてるなら試してみると良い。
この様に指をしっかりと立てて押弦することです。これだけでホントに音の通りがよくなります。
Rockなんかでよく使う握り込むフォームの時も、指だけはしっかりと立ててみよう。やはり音の通りが良くなります。
ストラップを長~くして弾きにくそうにカッコつけてるベーシストに多く見られる悪いフォーム。あのね、ついでに言うと腱鞘炎になる恐れあり。音も抜けないし、良い事ないです。早急に止めましょう。
また、これがマスター出来ると小さな手や短い指が克服できます。よく質問がある「手が小さいんですが」「指が短いんですが」なんて、関係ないんですよ。私自身指は短い方なんです。正しいフォームは、こんな事まで可能にします。
<1フレットの押さえ方>
親指はネックの裏側へ。
<2フレットの押さえ方>
中指は、横に開くのではなく、そのまま伸ばして2フレットを押さえます。
<3フレットの押さえ方>
薬指は、そこから更に伸ばす。やってみると十分に届く事が解かるでしょう。
<4フレットの押さえ方>
小指の第一関節はひっくり返ってないでしょ?人差し指を良く見てください。殆ど指の横を使って押さえています。どんなに手が小さい人でも、こうすれば十分に押さえる事が可能です。慣れるまではイライラすると思いますが、断然「音の抜け」が良くなります。チャレンジする価値はありますよ。特にベースの音抜けの良さに関しては、他にも重要な要素が沢山あります。何回かに分けて書けるかな・・・。

2006年6月13日火曜日

「訃報」


青木智仁氏が昨晩亡くなられたそうだ。ネットの世界は、こう言った情報が早い。最初は、「まさか!「冗談でしょ?」だけど、ものの数時間後に事実が判明する。合掌。ご冥福をお祈り致します。彼は、そんなに好みのベーシストじゃなかったけど、それこそ日本を代表するベーシストの一人だったと思います。初めて見たのは、確かテレビで「タモリの音楽は世界だ!」と言う番組で、レギュラーメンバーとして演奏してた。曲はウェザーリポートの「バードランド」。イントロでジャコ・パストリアスの如く、ハーモニクスで決めてたっけなぁ・・・。角松敏生のお抱えベーシストだと判ったのは少し経ってから。何とも整えまくった綺麗過ぎるベースサウンドが彼の特長でした。ベース弾きだったら、誰でも一度は彼に憧れるんじゃないかな?ナベサダのバックでは一切エフェクターを使わず、泥臭いサウンドの変化してきていて好印象でした。折しも、角松のインストナンバーでもやろうかと相談してる最中で、彼の演奏をコピーし始めてたところでした。一糸乱れぬスピード感あるベースプレイ。思うように動かない自分の指がもどかしくなるほど悩ませてくれる名演でした。なんだか寂しいな・・・。「自分のベースを磨きながらウィスキーを飲むのが一番の幸せだった」と仰ってたそうです。好きだなぁそう言う人。

2006年6月6日火曜日

「目に余るもの2」 

まだまだあった。題して「目に余るもの」その2。

ヤフオクを見てると、明らかに業者なんだけど世界の名器「Fender Precision Bass」を「プレジション」や「プレジョン」とか平気で書いてるのを良く見かける。「プレシジョン」=「正確な」ですよ。通称プレベと呼ばれていますが、「プレ」しか合ってないじゃん(笑)。誰でも正確な音程で演奏できるために開発されたのに(笑)。これじゃ天国でレオ・フェンダー爺さんも泣いてるわ。プレシジョンですよ!プ・レ・シ・ジョ・ン!

左側がポテンショメーター。通称「ポット」。ボリュームやトーンは、これでコントロールしますが、準消耗品なのでノイズが出るようになったら交換します。古くなってくると、回した時に「ザザッ」「ガリッ」と言うノイズが発生するので、中古品の商品説明では「ボリュームなどの”ガリ”はありません。」などと表現されます。生姜の酢漬けとは一切関係ありません(笑)。ところが、これを「ポッド」と書いてるのを、これまた良く見かける。右側は有名な「i-Pod」です。

最後に「フレット」。呆れますが「フレッド」ってのも良く見かけます。フレットだよフ・レ・ッ・ト!どっかの外人の男性の名前みたい。逆にこれを打ってない物を「フレッドレス」とは言わないだろうに・・・。

「楽器の日」


今日は「楽器の日」なんだそうで・・・。YAMAHAの「おんがく日めくり」を見たら以下の様な記述がありました。

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<楽器の日>~楽器を習いたいと思っている方、今日からはじめませんか~ ご存じでしたか?「楽器の日」。全国楽器協会(楽器メーカー、楽器卸商、楽器小売店による業界団体)によって、1970年(昭和45)に制定されました。 では、6月6日がどうして楽器の日に選ばれたのでしょうか。それは古くから言われている「芸事の稽古はじめは、6歳の6月6日にする」というならわしに由来しています。なぜ子どもの稽古はじめが「6」づくしなのか、定説はありませんが、一説によれば日本式に数を指で数えると、5までは指を曲げるけれども、6になると逆に小指から指を立てる、そこから「子が立つのは6」と縁起をかつぎ、6歳の6月6日となった、とも言われています。 もちろん楽器を習う楽しみは、子どもだけのものではありません。イギリスのことわざにも「習うのに老いすぎているということはない」とあるように、大人にとっても、好きな曲を自分で演奏できるようになることは、実に楽しいもの。肩ひじを張らず気軽に楽器を楽しむのも、素敵な余暇の過ごし方ではないでしょうか。 いずれにしても、6月は木々の芽も伸び、活気に溢れる季節。何か楽器をはじめようかな、と思っていた方にとって、今日の「楽器の日」は、ちょうどいいきっかけになるかもしれませんね。

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それが理由じゃないけど、普段使ってないベースをケースから引っ張り出してみました。古い物はもう25年前のだから、若干ガリなんか発生してます。これはポット交換が必要だな・・・。ケースに入れておいてもほこりは被っちゃいます。クロスで綺麗に拭いた後、暫しアンプに繋いで戯れてみました。ここのところ過ごしやすい気候ですので、コンディションも良好な状態をキープしてます。で、また綺麗に拭いて(笑)。今日は、敢えて弾かずに眺めてみました。改めて良いデザインです。「時の試練」を生き残ってきただけあって、惚れ惚れする曲線。こんな瞬間も<肩肘張らず気軽に楽器を楽しむ>って事なのかな?で、パチリと記念撮影!