2005年3月22日火曜日

「回想録Vol.2」

中学生活も終盤に近づき、「高校に行ったら何やる?」と言う話題が必ず花を咲かせる。「ベースやってみようと思うんだ。」と私が言うと十中八九「えっおまえが??」と言われる。まったくイメージに無いらしい。ほっとけ!


で、受験当日すべてが終わって帰路に着く。しかし、そのまま帰る気になれない。ずっと歩きながら「あの問題はこうだった。あーだった。」と言いながらだらだら歩く。一切が終わったある種の達成感からか時間が気にならない。一行は新潟市万代シティへ。ボーリングでもしていこうという事になり、その前に2FにあったYAMAHAへ。そこにはキラキラと輝く素敵な楽器達がいっぱい。楽器なんて全く無知だった私は、見渡して最初に目に飛び込んだあるベースに手を伸ばす。「弾いてみますか?」と女性店員さんが声をかけてくれた。「いえいえ弾けませんから。」とは言えずに気が付いたらそのベースを手渡されていた。結構重いもんだな。弦ってこんなに太いんだ・・・。よし!無事合格したらこれにしよう!そんな事を想像してると、抑えきれずににやけて来る。一向に帰ってこない息子を心配する母親の胸中は私には届かなかった。


翌々日、無事に合格した私はその一目ぼれしたベースを手に入れた。うれしい!叫びだしたくなるような、恥ずかしいような。想いを寄せてた女の子に思いが通じた瞬間のような。もう、毎日抱いて寝たっけ・・・。別に汚れてもいないのに毎日ポリッシュで磨いて、用も無いのにケースから出したり入れたり。そう、ランドセルを買ってもらった幼稚園児のように。


程なくして、近所に住んでる従兄弟から、「音楽やるんだって?だったらこれを聞いておいたほうが良い。」と奇妙なデザインのジャケットを見せてもらった。それがこれ。山下達郎「Go Ahead!」今見ても不思議な気分になります。これじゃ一般ウケしないわなぁ。平凡にも明星にも出てないぞ。でもね、な~んか耳に残るんですよ。こんなサウンド今までに聞いたことが無い。今度もう一回遊びに言ってカセットに録音してもらおう。そしたらナント5月に新潟で達郎さんの初Live!折りしも「Ride no Time」がブレーク寸前だった。それまでに経験したLiveと言えば庄野真代(最後はバラードでしっとりと終わる。)、オフ・コース(チケットが高額なのに90分で終わり。)、TOTO(3日間耳鳴りが続いた。)がいい所。延々と3時間ブッ通しのLive、しかも反応がいい事に気を良くしたのか、約30分の時間オーバー。ベースで延々とチョッパーソロをやるのも初体験。テープレコーダーを忍ばせて隠し録りした。終わってすぐに自転車を飛ばして家に帰り、目に焼き付けた映像をテープで確かめながらすぐにやってみる。ブチッ!ブチッ!プスン・・・。全然音にならない。


その日以来、何かに急き立てられるように弾きまくった。血豆もできた。水ぶくれもできた。指先は完全に打撲傷状態。そして、日を追うごとに少しずつ音になってくる。「まだまだ。もっともっと。」腹も空かない。眠くもならない。高校生活が始まり、最初にやるのは自己紹介。必ず何人か「ギターやってます。」「ドラムやってます。」なんて輩が現れる。休み時間に、「ねぇ、一緒にバンドやってみないか?」と話しかけ、多いに盛り上がった。目指すは秋の文化祭!できたばかりの高校で第一期生なので、前例も無い。いいのいいの前例なんて俺達が作る!で、みんなどんな音楽聞いてるの?なに?NSP?オフ・コース?長渕剛?おまけに西城秀樹???「今、マクセルのCMやってる山下達郎って良いと思わない?」って言ったら、「え~気持ち悪い。」と一蹴された。違うよ!おまえらが解んないだけよ。私はこの時期毎日平均8時間以上練習してた。段々指先も痛くならなくなってきていた。


しかし、この頃から「燃える下心」に静かに暗雲が近づいてきていた・・・。~続く~

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