2005年3月28日月曜日

「回想録Vol.6」

理想と現実の狭間で気持ちは揺れ動く。「そんな事をするために生きてるんじゃないだろ?」「そんな事やってる場合じゃないだろ?」頭の中で幾つ物言葉が行き交う。でも、ベースさえあれば強くなれた。これが弾けてる限り人とは違う自分でいる事ができた。そんな気がした。この時期に一緒にやっていたヴォーカリストは青木さんという女性で、なんと母親の知り合い。化粧品会社の美容部員で、昔はあの矢沢永吉の前座をやったことがあると言う。声量も凄い!彼女とのコンビはメンバーをチェンジしながらもしばらく続いた。最初のメンバーでは、「これで最後にしよう。」と決めていたEast&Westに応募。運良くブロック大会まで勝ち進んだ。大半が高校生のメンバーだったので毎回送迎が大変。そうそう、この時は会場が渋谷・エピキュラスだったが、なんとゲストはデビュー直前のCCB!程なくデビューし、この時はココナッツ・ボーイズと名乗っていた。この時の彼らの衣装は上半身を着崩したつなぎにカラフルなモヒカンヘア。おっかないパンク野郎かと思ったら、話してみると礼儀正しい優しい人達だった。流石だね。再結成の噂があるけど、TVにでるのかな?私は、誘われるまま楽器店に就職していた。しかし、ほぼピアノ販売100%の営業だ。この頃のこの業界は、殆んどの人が「営業」と言うと思い浮かべる事をもろにやってるところだった。給料は仲間内でも飛びぬけて安い!ノルマはあるけど歩合は無い!辛うじて音楽に携わる仕事だけど・・・。家庭内では、父親が管理職に転じたストレスから酒の量が増え、毎晩のように酒乱で暴力を振るうようになった。もはや家に帰っても気が休まるところも無い状態。僕はどうすればいい?この頃、青木さんとやっていたバンドに新しいメンバーを向かい入れた。彼は音大卒のドラマー。教員を目指していたが、その時は新潟照明という会社でバイトをしてた。なかなかの、そして久しぶりの素晴らしいテクニシャン。これを逃しちゃいけないって事で次々にLiveをやった。お陰で彼は2年続けて教員採用試験を落ちてしまった。もしかして私のせい?ごめんね・・・。変化は思わぬところから。彼と私は同じ職場に居た。責任を感じた私は、上司に彼を推薦し、彼は入社した。これでドラマーである彼が突然どこかへ行ってしまう心配は無くなった。キーボードは同期入社のエレクトーン講師。演奏力もグレードアップし、バンドは充実していった。しかし、ある日そのドラマーが一緒に乗っていた営業車の中でボソッとつぶやいた。「友人が自分でビジネスをやっているんだ。」ふーん、いろんな知り合いが居るんだね。私にはすぐに判った。あ、こいつ自分もやるつもりだな・・・。なんとか止めさせなくっちゃ。それが何かもわからずに反射的にそう思った。毎日彼の会話は変化していく。新しい世界を楽しそうに聞かせてくれる。私は焦った。どうやら私もそのビジネスに誘われてるらしい。一大決心して敵地に!?乗り込んだ。営業で断られる事には慣れていたので、自分が断る自信はあった。でも、よく聞いて見たら、そこにあったのは単純明快なアメリカのビジネスだった。誤解が大きかった分、もっと大きなカルチャーショック。窮地に追い込まれていた私には、現状を打破するには選択の余地など無い。できるかどうかわからないけどやってみることにした。この日から楽器店の仕事と二束のわらじを履くことになる。慣れない事ばかりだったが、事は動き出した。状況を変化させたくて、私はそれまで夢にまで見ていた新しい楽器を探していた。どうやらメーカーが消滅するらしい。急がなくては!そのメーカーとは「MUSIC MAN」。現在でも私の大切な相棒であるStingRayとの出会い。

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